国境の南

雑感

狭き門

無印の古本は本当に選書がいい、ハズレがない。ありがたい。

 

「なぜ、婚約者になる必要があるんだろう。別段世間の人に知らせないでも、ぼくたち二人が二人であり、またいつまでも二人でいるということさえわかっていたら、それでたくさんじゃないか。……その愛の気持を、何か約束で固めたからって、もっとりっぱになると思うかね?」

自分もこの間同じようなことを口走っていた気がするが、本当にそうかな?ジェロームは不安だっただけだと思う。こんなこと言い出す奴はそうなんですよ。

 

アリサの信心や行動は、神へのものと見せかけて結局ジェロームへ向けられたものだったが、幸福そのものを願うことが罪だった、というわけなのかな。全然宗教についての知識がないので読みきれていないところがありそうだが、、

 

「では、あなたは、希望のない恋を、そういつまでも心に守っていられると思って?」

「そう思うよ、ジュリエット」

「そして、日ごと日ごとの生活がその上を吹きすぎても、それが消されずにいるだろうと思って?」

ジュリエットが掴んだ種類の幸せのことを思う。