国境の南

雑感

優雅な生活が最高の復讐である

装丁が素敵で手に取った。ツイッターウケしそうなタイトルはたぶんインターネットで見て知っていた、タイトルの意味は読む前と読んだ後で印象が少し変わったと思う。ジェラルドとセーラのマーフィー夫妻の暮らしとその友人たちの話だが、スコットフィッツ・ジェラルドと妻のゼルダの話がなかなか凄かった。他の本でも読んだけど当時周りにいた人は本当参ってしまっただろうなぁという滅茶苦茶ぶり(高いところから飛び降りたり、轢かれようとしたり)

マーフィー夫妻の独創的で美しい暮らしぶりは、誰もを魅了し、「マーフィ夫妻と一緒のときはだれもが最高の自分になれた」という。

 

『人生の自分でこしらえた部分、非現実的なところだけが好きなんだ。たしかにいろんなことが起きる——病気とか誕生とか、ゼルダのプランジャン入院とかパトリックのサナトリウムとか義父ウィボーグの死とか。それらが現実だ、どうにも手の出しようがない』

 

『…大事なのは、なにをするかではなくて、なににこころを傾けるかだとおもっているから、人生のじぶんでつくりあげた部分しか、ぼくには意味がないんだよ』

突如襲いかかってくる悲しみ、怒り、人生のコントロールできない理不尽さへ抗う手立てとしての美しい生活。