国境の南

雑感

ペスト

読書の感想をつけることにした。

休業中で暇なのもあるけど、さらさらと読んでしまうことを防ぐのと、ツイッターより長い文章を書く練習にもなるかなと。まあ暇なんだな。

 

記念すべき第1作目はカミュのペスト。話題ですからね。安易だな。

 

ペスト (新潮文庫)

ペスト (新潮文庫)

  • 作者:カミュ
  • 発売日: 1969/10/30
  • メディア: ペーパーバック
 

 

これ買ったの休業入る前々日くらいだからまるまる1ヶ月以上かかったことになるな。全然終わらなくて苦痛でしかなかった。なんで読もうと思ったんだろう。しかも読むならこの時期に読み終わりたいみたいなよくわからん意識のせいで併読もできずに4月が終わった…

 

一応フィクションといえども昔ペストにかかった人たちがどうなって社会がどう動いていったのか、みたいな展望を期待して読み始めた。

ペストの発生から広がっていく様子なんかは全く同じような様相だった。死体を埋葬しきれなくて…みたいなのもNYと同じだ。

市民のリーダーたちの対応の遅さも同じ。どうしてこうなるんだろう。

 

それから、ニュースやらワイドショーでたびたび口にされる「コロナに打ち勝つ」みたいなアレ何なんだろうなとずっと思っていて、戦時中か?と。勝ち負けの基準はどこにあるわけ?非常事態宣言の解除の基準すら明確になってないのに。

 

ちなみにペストの中で敗北とは、沈黙と言う言葉をもって語られていた。

 

<すでにあのころにも、彼は、自分が人々を死ぬままに残してきた寝台から立ち昇る、あの沈黙のことを思ったものであった。それはどこでも同じ休止、同じ厳粛な合間、戦いの後に続く常に同じ鎮静であり、敗北の沈黙であった。>

 

じゃあ生き残った者がすべて勝者なのか?というとそうではないのだろう。

 

<しかし少なくともこの瞬間、自分自身にとってはもう決して平和はありえないであろうこと、息子をもぎとられた母親や、友の死体をうずめた男にとって休戦などは存在しないことだけは、わかっているような気がした。>

 

実際に何人もの病人を看取り友人をも失ってしまったリウーにとってペストの終結が勝利に直結することはない。これは今医療現場で懸命に働いている人たちや私たちの生活を支えてくれている人たち、大事な人や安定した暮らしを失ってしまった人たちにも当てはまるだろう

 

<ペストと生とのかけにおいて、およそ人間がかちうることのできたものは、それは知識と記憶であった。>

 

新型コロナと我々のゆくえやいかに。

なんか大学のレポート作ってるみたいになっちゃった。

次は楽しいやつ読みたいわ